軟部組織肉腫とは
体表に発症する、比較的多い腫瘍です。
ゴールデンレトリバーはこの腫瘍が多く、他の腫瘍との重複も多く認められます。
過去の調査では軟部組織肉腫の重複腫瘍発生率21%(著者自験例)でした。
軟部組織肉腫の症例紹介
ゴールデンレトリバー メス 12歳
以前からある顔面の腫瘍から出血してきたとのこと。
かかりつけ動物病院では悪性腫瘍を疑い、直ちに当院を紹介受診となりました。
急速に増大した右頬の腫瘍、表面が自壊し出血していました。
既往歴として、子宮蓄膿症(内科治療済)がありました。
軟部組織肉腫の検査所見
体重32kg 体温38.0℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態 :良好
一般身体検査 :右頬〜鼻鏡にかけて3×3.5㎝の皮下腫瘤あり。皮膚・底部との固着あり。
左乳腺に4cm大の腫瘍を発見、棒状に過形成・境界不明瞭。
血液検査 :白血球増多
仮診断 :顔面は中程度悪性腫瘍、乳腺は良悪不明
軟部組織肉腫の治療
確定診断と出血制御を兼ねて、オーナーは即日の切除術を希望しました。
ついでに、身体検査で発覚した乳腺腫瘍と腫大した子宮も摘出することになりました。
第1病日 右頬「腫瘍辺縁切除術」、左乳腺「分房切除術+卵巣子宮摘出術」実施。
麻酔に問題はなく、覚醒も良好でした。
術後病理診断
・右頬「軟部組織肉腫(悪性神経鞘腫疑い)グレード2」マージンフリー
・左第3乳腺「乳腺腺癌 高悪性度」マージンフリー・リンパ管浸潤あり
・子宮「慢性化膿性子宮内膜炎」
術後は乳腺癌の再発・転移に注意しながら、内服薬による経過観察としました。
ご家族にも、「お顔が綺麗になり、元気になった」と喜んでいただけました。
軟部組織肉腫のまとめ
軟部組織肉腫はそれ自身も局所浸潤性が高い悪性腫瘍であるが、重複腫瘍に注意することも重要です。
本症例では、身体診察で見つかった乳腺腺癌のほうが悪性度が高いことがわかったため、術後は治療の重点をそちらに置くことができました。
高悪性度の乳腺腺癌は局所再発率・遠隔転移性ともに高いため、注意しながら経過を見ています。
軟部組織肉腫の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
あれ??何か腫れてない?
そういえば最近体重が減っているかも・・・・
触ると嫌がるようになった???
等々、何か異変を感じた場合は、当院までご相談下さい!!!
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