浜松市近隣にお住まいの飼い主様へ|愛犬の「椎間板ヘルニア」についてご存じですか?
「最近、段差を避けるようになった」 「後ろ足がふらついている」 「散歩中に急に立ち止まる」 そんな変化に気づいたことはありませんか?
実はそのサイン、犬の椎間板ヘルニアの始まりかもしれません!
今回は、浜松市で犬を飼われている皆さまに向けて、以下の情報を丁寧にお伝えします 🐶
- 椎間板ヘルニアとはどんな病気か
- 発症しやすい犬種とリスク要因
- 症状の見分け方とグレード分類
- 診断・治療方法(内科、外科、再生医療)
- ご家庭でできる予防策
椎間板ヘルニアとは?
椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある「椎間板」というクッション構造が変性し、
内部のゼリー状物質(髄核)が飛び出すことで、神経(脊髄)を圧迫してしまう病気です。
この圧迫により、痛み・しびれ・麻痺・歩行障害などの神経症状が引き起こされます。
特に「胴長短足」タイプの犬種(ダックスフンドやコーギーなど)に多く発症しますが、
近年はトイ・プードルや柴犬などにも増えています。
発症しやすい犬種とリスク要因
発症しやすい犬種トップ5
- ミニチュア・ダックスフンド → 約4~5歳で発症するケースが多い
- トイ・プードル → 運動が活発でジャンプ癖のある子に多い
- フレンチブルドッグ → 骨格の特徴からリスク高
- コーギー → 胴長体型で腰に負担がかかりやすい
- 柴犬 → 年齢とともに椎間板が変性しやすい傾向
その他のリスク因子
- 加齢(5歳以上) → 椎間板の水分量が減少し、柔軟性が失われていきます
- 肥満 → 背骨にかかる負担が増加し、ヘルニアのリスクが2〜3倍に
- 高い所からのジャンプ → ソファや階段からの飛び降りは危険です
- 滑りやすいフローリング → 足が滑って転倒し、背中を痛める可能性があります
椎間板ヘルニアの症状とグレード分類
発症初期は些細な変化しか見られないことも多いため、飼い主様の早期の気づきが大切です。
主な症状
- 背中や腰を触ると嫌がる・唸る
- 歩行がぎこちなくなる
- 片足をかばうように歩く
- 足を引きずる
- 排尿・排便に異常が出る
グレード分類(症状の重さ)
グレード | 症状内容 |
グレード1 | 痛みのみ(歩行可能) |
グレード2 | 軽度の麻痺(ふらつきがある) |
グレード3 | 中等度の麻痺(後肢に力が入らない) |
グレード4 | 重度の麻痺(自力排尿困難) |
グレード5 | 完全な麻痺(痛覚消失) |
グレード3以降は、外科的手術が必要になるケースが多く、早期の治療判断が重要になります。
診断方法|TPC浜松動物総合病院で行う検査
当院では、症状の重症度に応じて以下の検査を組み合わせて診断を行います。
- 神経学的検査:歩行や姿勢、反射テストなど
- X線検査:骨の変形や椎間板のスペースを確認
- MRI検査:椎間板の飛び出しと脊髄の圧迫状況を正確に把握(全身麻酔が必要) 当院ではMRI設置がないため、他院様のご紹介になります。
MRIはヘルニアの位置と程度を正確に判断できるため、手術の可否を決める上で最も信頼性の高い検査です。
治療法|状態に応じて選ぶ最適なアプローチ
- 内科的治療(軽度)
- 消炎鎮痛剤の投与
- ケージレスト(安静療法):最低2〜4週間
- リハビリ・温熱療法・サプリメントの併用
多くのグレード1~2の子は、数週間で回復することも珍しくありません。
- 外科的治療(中〜重度)
グレード3以上、または内科的治療で改善が見られない場合は、手術が適応されます。
- 片側椎弓切除術や椎体間固定術などが主流
- 入院期間:3〜5日程度(経過による)
- 再生医療(先進医療)
- 幹細胞を用いた治療法で、損傷した神経の修復を促進
- 高齢や持病などで手術が難しいワンちゃんにも適応可能
ご家庭でできる!椎間板ヘルニアの予防法
- 体重管理 → 肥満はすべての関節疾患の最大リスク。月1回の体重測定を習慣に。
- 床の環境整備 → 滑りやすいフローリングには滑り止めマットを設置。
- 段差の対策 → ソファや階段にスロープを設置、ジャンプを避ける工夫。
- 正しい抱き方 → 背骨が曲がらないように水平に抱き上げ、負荷を分散。
- 日々の観察 → 「歩き方が変?」「ジャンプを嫌がる?」と思ったら、早めに受診。
「うちの子、もしかして…」と思ったら
椎間板ヘルニアは、初期対応の早さで運命が大きく変わります。
違和感を感じたら、迷わず一度ご相談ください。
~まとめ~
犬の椎間板ヘルニアは、適切な知識と予防、そして早期治療によって大きく改善できる病気です。
「ただの疲れかな?」 「少し様子見ようかな」―― そう感じたときが、病気と向き合うベストタイミングかもしれません。
大切な家族であるワンちゃんの健康を守るために、いつでも当院にご相談ください✨