僧帽弁閉鎖不全症は、特に小型犬や中型犬に見られる心臓病で、左心房と左心室を区切る僧帽弁が老化や疾患により正常に閉じなくなり、血液が逆流する状態を示します。初期段階では症状が軽微ですが、進行すると咳や運動困難、呼吸困難が見られるようになります。聴診で心雑音が確認されることが多く、レントゲンや超音波検査により診断が確定されます。治療は主に薬物療法で、利尿剤や血管拡張剤などを使用し、症状や病状の進行に応じて調整されます。早期発見と管理が重要です。

肺水腫は、肺に液体が溜まることで呼吸困難を引き起こす病気です。原因には心不全、肺炎、外的衝撃、アレルギー反応などがあり、これらが引き金となって発症します。症状としては、咳、呼吸困難、口を開けた状態での呼吸、チアノーゼ（舌や歯茎が青紫色になる）などが見られます。早期に適切な治療を受けなければ、命に関わることもあります。治療法としては、酸素吸入や利尿剤、心臓用薬剤を使用して肺に溜まった液体を減少させる方法が一般的です。早期の発見と迅速な治療が回復に繋がります。

肥大型心筋症は、猫に最も一般的に見られる心臓疾患で、心臓の筋肉が異常に肥大する病気です。その原因ははっきりしていないことが多く、遺伝的な要因が大きいと考えられています。初期段階では症状がないことも多いですが、病気が進行すると呼吸困難や食欲不振、後ろ足の麻痺（動脈血栓塞栓症の合併）などが現れます。診断には心エコー検査が必要です。治療は主に薬物療法で、血栓を予防するために抗凝固剤も使用されることがあります。定期的な健康診断と早期の発見が非常に重要です。

動脈血栓塞栓症は、特に肥大型心筋症を抱える猫に見られる深刻な合併症で、心臓内で発生した血栓が動脈に詰まることで起こります。最も一般的なのは、後ろ足の動脈が詰まり、突然の麻痺や激しい痛みが現れるケースです。その他に呼吸困難や嘔吐、元気消失などの症状も見られることがあります。これは緊急の処置が必要な状態で、すぐに獣医師の診察を受けるべきです。治療方法には血栓溶解剤や抗凝固剤の投与、痛みの管理などが行われます。予後は必ずしも良好ではありませんが、早期発見と適切な治療により改善の可能性があります。