薬剤耐性菌とは薬(抗生物質)が効かない細菌のこと
近年、人間の医療でも頻繁に耳にするようになりました。
抗生物質はとてもよく効く薬ですが、間違った使い方をしていると徐々に効かなくなってしまいます。
薬が効かなくなった耐性菌に新しい薬を使うと、いずれまた効かなくなる。
これを繰り返して、多くの抗生物質が効かなくなってしまった耐性菌を「多剤耐性菌」といいます。
多剤耐性菌は治療が困難で、動物だけでなく、ヒトに感染しても大変です。
動物医療での耐性菌
この抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が世界的に問題視されています。
日本では、2017年に愛玩動物における薬剤耐性菌の状況調査を開始しました。
すると、疾病に罹患した動物から分離された大腸菌において、
人医療において特に重要とされている抗菌薬(第3世代セファロスポリン系薬、フルオロ キノロン系薬)の耐性率が40%前後を示していました。
愛玩動物においても薬剤耐性菌が広がっていることがわかってきたのです。
今や愛玩動物は家族の一員として、人との距離が密接になっています。
まだ実例はないものの、愛玩動物から人に薬剤耐性菌が伝播し、家族や周囲の人の健康に影響を及ぼす可能性も考えられます。
動物医療での対策
これを防ぐために、獣医療でも対策を始めました(*)
ポイントをまとめると、薬剤耐性菌を防止するための以下の3か条です。
1. 適切な抗菌薬を使用する
2. 院内感染の防止
3. 飼い主様のご協力
当院では、下記のことを心がけています。
1.適切な抗菌薬使用について
・薬剤感受性試験をお奨めしています
菌の種類と、どんなお薬がを調べる検査です。
治療と並行して検査することで、目標を定めて適切なお薬を選ぶことができます。
・アンチバイオグラムを作成して参考にしています
上記の検査結果を数年単位で集めて、統計処理したものです。
菌の種類とお薬の効果を答え合わせするようなもので、地域によって傾向が異なります。
この調査によって、耐性菌の傾向や、お薬の有効率がわかります。
・最低限の抗生物質を使用します。
例えば、、、
①室内飼育の動物の簡単な手術の際に、抗生物質の処方を控えることがあります。
室内の生活では傷口に泥や菌が付着することが少なく、飼い主さんも観察していただけます。
感染のリスクは0ではありませんが、耐性菌を作ってしまうよりは良いと考えています。
②消毒薬、シャンプーなどの治療法を積極的にお奨めします。
とくに皮膚病などでは抗生物質の使用量が減らせますし、全身に潜んだ耐性菌を増やしてしまうリスクが少なくなります。
2.院内感染の防止について
もともと、動物病院ではウイルス感染については敏感で、診察室内を消毒をする習慣があります。
当院でも診察室内では中性電解水(https://meau.jp)による清拭・噴霧を行っています。
それに加えて最近はスタッフ個々に、こまめな手洗い・清掃を心がけています。
昨今のコロナウイルス感染症のおかげ(?)で、一般のご家庭でも手洗い習慣はお馴染みですよね?
実は、流水で手洗いをするだけで、手指からの細菌感染を9割減らすことができるという報告もあるそうです
3.飼い主様のご協力
以上のことから、飼い主様へのお願いです。
当院の獣医師から「細菌感染のために、詳しい検査した方が、、。」という話があった場合には、検査の御協力をお願いいたします。
また、抗菌薬が処方されたら獣医師の指示通りに飲ませてください。自己判断で止めたり、量を減らしたりはしないで下さいね。
*参考:愛玩動物における 抗菌薬の 慎重使用の手引き2020
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/attach/pdf/torikumi-25.pdf
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