News院長のブログ

2022.06.17

犬がハアハア
夏の熱中症【熱射病・日射病】とは

犬の熱中症とは

熱中症は、高熱により体温調節機能が障害される病気です。

犬の場合は強い直射日光、高温多湿、無風などの環境で車や室内に長期間放置される事で発症します。
特に心臓病、短頭種(シーズー、パグ等)、虚弱体質、 肥満、老齢の動物、激しいトレーニング等で発症しやすくなります。

犬は体の熱を下げるためにパンティングと呼ばれる「ハァハァ」と激しい口呼吸をしますが、熱中症の初期症状ではパンティングが通常よりも速くなります。

犬の体温調節

気温が高い場合、人も動物も血管を拡張させて皮膚温度を低下させます。それにより、血圧は下降、脈拍は増加、血流成分が増加します。
さらに高温になってくると、汗で調節します。ただし動物は人より汗腺が発達していないため、開口呼吸(パンティング)によってその代わりをしています。
このような高温への適応が限界を越えた場合、病的な状態<熱中症>になります。

犬の熱中症の症状

ハアハアと浅い呼吸が続き、倒れてショック状態に陥る。
嘔吐や血便、けいれんなど。

意識障害は軽いものから、朦朧、昏睡までさまざま。

 

犬の熱中症の診断

臨床症状から診断をし、治療と並行して必要な検査を行ないます。

犬の体温は人間よりも高い(38〜39℃)のですが、40℃を超えると危険な状態となり、42℃超になると生命の危険があります。

血液検査では白血球増加、血小板減少などの変化と凝縮、電解質異常、アシドーシス、肝機能異常を認める事もあります。
その後、血液凝固障害から多臓器不全へと移行します。
意識障害の場合は早急に処置が必要となります。

熱中症の分類

  1. 熱射病(Heat stroke)
  2. 日射病(Sun stroke)
  3. その他、熱疲労(Heat Exhaustion)、熱けいれん(heat cramps)

熱疲労と熱けいれんは軽度のものですが、熱射病や日射病は生命の危険もあり、医療機関での治療の必要があります。

1.  熱射病(Heat stroke)

高温環境によって体温調節機能が障害され、高体温による細胞障害が全身に及んで多臓器不全の状態になる病気です。
1、 体温の過上昇・・・41℃以上
2、 循環障害、頻脈、血圧は初期高く後低下、無尿
3、 肝臓、腎臓、中枢神経の障害・・・元気消失、吐き気、下痢(血便〜黒色便)、昏睡、痙攣
4、 皮膚は紅潮して赤く乾燥、発汗停止、紅潮

犬の熱射病の治療

まず体温を下げること。
換気の良い涼しい部屋で、絶えず直腸温を図りながら冷タオルや氷でのマッサージ、冷水浴等で40度まで冷やすようにしましょう。
できるだけ早く病院に連絡をした方が良いでしょう。

医療機関では静脈の確保と気道確保、ショック状態には輸液やステロイドを併用することもあります。

2. 日射病(Sun stroke)

太陽光線により筋肉や皮膚の血流量が増加して、相対的に循環血液の不足、脱水が起きる病気です。

犬ではあまり一般的ではありませんが、下記の症状が考えられます。
1、 体温は39度以上
2、 吐き気、下痢
3、 軽度のチアノーゼ
4、 一過性の意識障害
5、 頻脈、血圧低下

犬の日射病の治療

冷所に連れて行き、冷水を飲ませる。首輪をゆるめる。動物病院では症状により熱射病と同じように輸液、気道確保、薬物療法を行います。

 

犬の熱中症のまとめ

繰り返しますが、人との違いは、初めの段階でパンティングと言われる早い呼吸が見られることです。

いきなりクラっと倒れたりはしません(・・その症状は他の病気を疑います)ので、呼吸状態をよく観察してください。

ハアハア、ゼエゼエ、舌を出す、座り込む、体が熱い、などがあれば、まず体を冷やすために風通しの良い日陰に移動して様子を見ましょう。

高熱であれば、氷と冷水を使って体温を下げることを試みて、早急に動物病院に搬送してください。

 

動物たちの体調に異常を感じたら

  • あれ??何か熱くない?
  • そういえば呼吸がハアハアしてる
  • 動かなくなった?     など、何か異変を感じた場合は当院へご相談下さい

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この記事を書いたひと

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武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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