News院長のブログ

2022.04.26

薬を使わない医療?薬剤耐性菌を防ぐために

浜松家畜病院 往診・訪問看護

薬剤耐性菌とは薬(抗生物質)が効かない細菌のこと

近年、人間の医療でも頻繁に耳にするようになりました。

抗生物質はとてもよく効く薬ですが、間違った使い方をしていると徐々に効かなくなってしまいます。

薬が効かなくなった耐性菌に新しい薬を使うと、いずれまた効かなくなる。

これを繰り返して、多くの抗生物質が効かなくなってしまった耐性菌を「多剤耐性菌」といいます。

多剤耐性菌は治療が困難で、動物だけでなく、ヒトに感染しても大変です。

 

動物医療での耐性菌

この抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が世界的に問題視されています。

日本では、2017年に愛玩動物における薬剤耐性菌の状況調査を開始しました。

すると、疾病に罹患した動物から分離された大腸菌において、

人医療において特に重要とされている抗菌薬(第3世代セファロスポリン系薬、フルオロ キノロン系薬)の耐性率が40%前後を示していました。

愛玩動物においても薬剤耐性菌が広がっていることがわかってきたのです。

 

今や愛玩動物は家族の一員として、人との距離が密接になっています。

まだ実例はないものの、愛玩動物から人に薬剤耐性菌が伝播し、家族や周囲の人の健康に影響を及ぼす可能性も考えられます。

 

動物医療での対策

これを防ぐために、獣医療でも対策を始めました(*)

ポイントをまとめると、薬剤耐性菌を防止するための以下の3か条です。

1. 適切な抗菌薬を使用する

2. 院内感染の防止

3. 飼い主様のご協力

当院では、下記のことを心がけています。

 

1.適切な抗菌薬使用について

・薬剤感受性試験をお奨めしています

   菌の種類と、どんなお薬がを調べる検査です。

   治療と並行して検査することで、目標を定めて適切なお薬を選ぶことができます。

 

・アンチバイオグラムを作成して参考にしています

   上記の検査結果を数年単位で集めて、統計処理したものです。

   菌の種類とお薬の効果を答え合わせするようなもので、地域によって傾向が異なります。

   この調査によって、耐性菌の傾向や、お薬の有効率がわかります。

 

・最低限の抗生物質を使用します。

 例えば、、、

 ①室内飼育の動物の簡単な手術の際に、抗生物質の処方を控えることがあります。

  室内の生活では傷口に泥や菌が付着することが少なく、飼い主さんも観察していただけます。

  感染のリスクは0ではありませんが、耐性菌を作ってしまうよりは良いと考えています。

 ②消毒薬、シャンプーなどの治療法を積極的にお奨めします。

  とくに皮膚病などでは抗生物質の使用量が減らせますし、全身に潜んだ耐性菌を増やしてしまうリスクが少なくなります。

 

2.院内感染の防止について

 もともと、動物病院ではウイルス感染については敏感で、診察室内を消毒をする習慣があります。

 当院でも診察室内では中性電解水(https://meau.jp)による清拭・噴霧を行っています。

 それに加えて最近はスタッフ個々に、こまめな手洗い・清掃を心がけています。

 昨今のコロナウイルス感染症のおかげ(?)で、一般のご家庭でも手洗い習慣はお馴染みですよね?

 実は、流水で手洗いをするだけで、手指からの細菌感染を9割減らすことができるという報告もあるそうです

 

3.飼い主様のご協力

  以上のことから、飼い主様へのお願いです。

  当院の獣医師から「細菌感染のために、詳しい検査した方が、、。」という話があった場合には、検査の御協力をお願いいたします。

  また、抗菌薬が処方されたら獣医師の指示通りに飲ませてください。自己判断で止めたり、量を減らしたりはしないで下さいね。

  *参考:愛玩動物における 抗菌薬の 慎重使用の手引き2020

  https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/attach/pdf/torikumi-25.pdf

 

 

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この記事を書いたひと

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武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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