患肢温存手術とは
足に悪性腫瘍ができた時、通常は断脚手術を行いますが、さまざまな理由で足を残したい状況(高齢犬など)もあります。
そんなときは、患肢(足の形)を温存して腫瘍だけを切除します。
皮膚の悪性腫瘍の中でも比較的発生率が多い血管周皮腫などが適応になります。
この腫瘍のグループ(軟部組織肉腫といいます)は中高齢犬の四肢、特に肘の周囲に好発します。
悪性ですが遠隔転移率が比較的低いため、この手術を行います。
症例の紹介
ミニチュア・シュナウザー 避妊メス 10歳
トリミングで肘の皮膚腫瘍に気づいた。
既往歴:洞性徐脈性不整脈・右尿管結石で治療中
腫瘍のための検査
体重5.9kg 体温38.0℃ 心拍数80回/分 呼吸数20回/分
一般状態 :良好
一般身体検査 :右肘に3×3.5㎝の皮下腫瘤あり。底部固着あり。
レントゲン検査:特記すべき異常所見なし
血液検査 :慢性腎臓病ステージ2
細胞診 :異形性の少ない細胞集塊
ツルーカット生検:「軟部組織肉腫 グレード1疑い」
急速に増大しており、このまま腫瘍が大きくなれば切除は困難です。
オーナーは足を温存した辺縁腫瘍切除を希望されました。
腫瘍の外科治療
第20病日 「患肢温存・腫瘍辺縁切除術」実施。
実は、この子は不整脈を持っていたので、抗不整脈薬を投与しながら手術を行いました。
リスクの高い麻酔時間を最小限にとどめる、素早い手術手技が必要となりました。
切除と縫合は下記の図の様に行い終了しました。
麻酔に問題はなく、覚醒も良好でした。
術後の病理診断:「軟部組織肉腫(血管周皮腫を疑う)」
病理組織グレードは1〜2、核分裂指数10HPF= 4、マージンフリーでした。
血管周皮腫の患肢温存手術・まとめ
血管周皮腫などの軟部組織肉腫は高齢犬の四肢に発生が多いことがわかっています。
さらに遠隔転移率はそれほど高くありません。
これは何を意味するかというと、
命に関わるというよりも、足のしこりがどんどん大きくなっていくのを見ているのは辛い。。
そんな症状の病気ですから、足の温存手術の依頼が多くなります。
腫瘍を取り残せば、すぐに再発しますし、もっとひどいことになりかねませんから、腫瘍はしっかりとって、足の機能は温存するバランスが重要な手術です。
本例では、なんとか前足の機能を温存したまま腫瘍を取り除くことができました。
ぜひ、このまま良い状態を保って長生きしてほしいです。
ご家族のコメント
「病気を知った時はどうしようと不安でした。先生の説明など聞き、安心してお任せすることができました。
再発は心配ですが、今こうして元気でいてくれる事が何よりで、先生方には本当に感謝しております。ありがとうございました。」
血管周皮腫の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
あれ??何か足が腫れてない?
そういえば最近体重が減っているかも・・・・
足を触ると嫌がるようになった???
等々、何か異変を感じた場合は、当院までご相談下さい!!!
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