猫の舌下腫瘍とは
ネコの口の中にできるしこりの約80~90パーセントが悪性腫瘍だと言われています。
その中でも代表的な「扁平上皮癌」は周囲の組織に広がる速度が早く完治が困難な、がんの一つです。
→猫の扁平上皮癌についてはコチラ
口の中にしこりができた場合は、ただの口内炎であるのか、腫瘍であるのかを早急に判別することが重要です。
多くの場合は、できるだけ早期に生検(しこりを一部切り取る検査)によって良性、悪性の確定をします。
猫の舌下腫瘍の症例紹介
雑種猫 メス 13歳
舌の出方がおかしく、口の中を気にするが、口を触らせてくれないとの主訴で来院しました。
院内での観察により、右舌下に腫瘍を発見。
既往歴:特になし
検査所見
体重3.2kg 体温38.0℃ 心拍数160回/分 呼吸数40回/分
一般状態 :良好
一般身体検査 :右側舌下に1cm大の腫瘤が存在し、表面が出血していました。
レントゲン検査:特記すべき異常所見なし
血液検査 :異常所見なし
細胞診 :有意な細胞得られず
猫の舌下腫瘍の外科治療
第1病日 「腫瘍切除術」 実施しました。
すでに舌の動きが上手くできないほど、大きくなってしまっていますので、もし悪性であれば舌を丸ごと取らなくてはなりません。
早急に確定診断が必要なため、切除生検を行いました。
舌根部をやや巻き込む形で存在する腫瘍を、底部の筋肉を含めて切除しました。
麻酔に問題はなく、覚醒も良好でした。
術後の病理診断は「炎症性の肉芽組織」でした。
猫の舌下腫瘍の治療経過
その後、2ヶ月ほどして腫瘍が再発してきたため免疫抑制剤を開始しました。
一時は内科療法により改善したのですが、消失と増大を繰り返したため、
第200病日 「レーザーメスを使用しての小切開切除」 実施しました。
再発巣は有茎状であり、前回の病理検査で良性腫瘍と判明していたため、最小マージンでの切除を行いました。
猫の舌下腫瘍の治療まとめ
今回は猫の性格と腫瘍の存在部位から、術前には良悪判定が困難でした。
そのため、まずは切除生検を行い、手術後に病理検査によって確定診断をしました。
猫の口腔腫瘍は悪性比率が非常に高いのですが、本症例のような免疫反応性の肉芽腫も一定数発生します。
本症例の組織検査では、底部に好酸球の浸潤が見られたことから、基礎に好酸球性肉芽腫の存在が疑われました。
このような疾患は原因によって再発を繰り返すこともあり、本症例は免疫抑制剤と再切除を行うことによって良好に管理することができました。
猫の口腔腫瘍は口の中を見る機会が少ないため、発見が遅れがちになる病気です。
「ドライフードを食べるのを嫌がる」「食事のときに頭を振る」「口を気にして掻く」「よだれに血が混じっている」「首を傾けたままじっとしている」などの症状がありましたら、早めに病院にご相談ください。
ご家族の感想
「先生の早い処置のおかげで安心して生活できていることに感謝しています。
私たちも日々、観察して異常がないか、見ています。
以前のイヌ・ネコも安心して診察していただけることに感謝です。」
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