症例紹介院長のブログ

2022.05.02

体調不良から予想外の病気が!?
肝臓の血管肉腫

犬の血管肉腫とは

血管肉腫は転移率の高い悪性腫瘍です。

脾臓に好発して、肝臓、大網、腸間膜、肺に転移します。また25%は心臓にも腫瘍が発生します。

おもな症状は腹腔出血による貧血や心膜液による心不全ですが、大半がDICと呼ばれる凝固不全をおこします。

残念ながら遠隔転移による死亡までの期間が非常に短い腫瘍です。

犬の血管肉腫の症例

ウェルシュ・コーギー 避妊メス 12歳
元気消失と下痢を主訴に来院されましたが、脾臓(+肝臓)に腫瘍が見つかりました。
既往歴:肩関節不安定症

犬の血管肉腫の検査所見

体重10.42kg 体温38.6℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :元気消失、軟便
一般身体検査 :特記すべき異常所見なし
レントゲン検査:脾臓腫瘍、肝臓腫瘍、腎結石
血液検査   :異常所見なし

細胞診    :非特異的所見

このまま腫瘍が大きくなると破裂、大量出血となる可能性があることを踏まえ、

オーナーは診断と治療をかねた腫瘍切除を希望されました。

 

犬の血管肉腫の治療

 第14病日 「脾臓摘出術・肝葉切除術」実施。

 脾臓には当初の腫瘍3cm大と、全体に斑状の腫瘤が認められました。

 肝内側左葉に3.5cmの腫瘤を認め、 超音波吸引装置を用いて部分切除を行いました。

 麻酔に問題はなく、覚醒も良好でした。

手術中画像ですので、苦手な方はご遠慮ください。 画像をクリックすると大きな画像が開きます。

手術中画像ですので、苦手な方はご遠慮ください。 画像をクリックすると大きな画像が開きます。

術後の病理診断:

 ①脾臓「骨髄脂肪腫」

 ②肝臓「血管肉腫」

犬の血管肉腫のまとめ

手術前は悪性腫瘍が脾臓から肝臓に転移したことを想定していましたが、実際は別々の腫瘍でした。

ただし、血管肉腫は転移性が高い腫瘍です。

報告によると、中央生存期間は手術のみで2ヶ月、手術+化学療法で6ヶ月とされています。

・・・ところが、

本症例は外科手術のみで半年以上、元気に過ごしてくれています。

上記のような統計(中央生存期間)は、治療の効果を比較するための数値です。

決して余命宣告ではありませんので、あきらめないで下さいね。

 

 

ご家族の感想

突然の体長不良からガンの診断と、思いもよらなかった事態に慌てるばかりで、早く気づいてあげられなかった後悔も押し寄せていました。

手術をしていただいて平均的余命2ヶ月との話でしたが、みるみる元気になり術後7ヶ月経過しましたが、ごはんにお散歩に毎日楽しく過ごせています。

一日一日を大切に一緒の時間を過ごしていきたいと思います。

血管肉腫の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。

あれ??何か元気ない?
そういえば最近体重が減っているかも・・・・
触ると嫌がるようになった???

等々、何か異変を感じた場合は、当院までご相談下さい!!!

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この記事を書いたひと

アバター

武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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