News症例紹介院長のブログ

2022.07.22

おでこが膨らむ!?分子標的薬により消失した扁平上皮癌

扁平上皮癌とは

扁平上皮癌は皮膚やその他の組織に発生する悪性腫瘍です。

皮膚に発生した場合は切除により治癒しますが、鼻腔内などに発生した場合は手術で取り切ることが困難になります。

扁平上皮癌の症例紹介

トイマンチェスターテリア 避妊メス 13歳

心臓病で投薬治療中。
2週間前から、急に「オデコが膨らみ始めた」との主訴で来院しました。

扁平上皮癌の検査所見

体重4.8kg 体温38.0℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :良好、僧帽弁閉鎖不全症ステージC
一般身体検査 :前頭部右側から右眼の上にかけて、硬く隆起した腫瘤が認められた。       
画像検査   :局所の骨浸潤像は認められず、遠隔転移なし
血液検査   :特記すべき異常所見なし

細胞診:軽度異型性を持つ上皮細胞がわずかに採取された

扁平上皮癌の治療

 オーナーは確定診断のために、生検をご希望されました。

 重度の心臓病のために全身麻酔はリスクが高いと判断し、局所麻酔と鎮静での一部切除を計画しました。

 第30病日 「切除生検」実施。腫瘤は急速増大、固着と痛みを伴っていました。

 腫瘍は骨膜に張り付くように皮下に存在。膨隆部を中心に二ヶ所生検しました。

術後病理診断は 「扁平上皮癌」

腫瘍細胞の異型性は中程度〜重度で、腫瘍細胞は増殖の中心部に角化をしていました。二ヶ所目の組織には肉芽組織の形成がありました。

扁平上皮癌の化学療法

皮膚の扁平上皮癌は、完全切除によって長期生存が期待できますが、今回は麻酔リスクを考慮して実施されませんでした。

鼻腔や前頭洞から発生した場合は挙動が異なりますが、全身麻酔が必要となるCT検査ができず原発病巣を探ることもできません。

上記のことから、本症例には分子標的薬による化学療法を実施しました。

写真では分かりづらいのですが、分子標的薬治療を始めて2ヶ月ほどで、手に触れる膨らみは完全に消失しました。

痛みが減って、耳の位置や表情も改善している様です。

 

ご家族の感想

『悪性と言われた時はショックでしたが、先生は病名がわかったから、治療法を考えられるしよかったんだよって言ってくれて前向きで心強く感じました。再発の心配はありますが、今のところ症状もなく落ち着いていて元気なので、治療を続けながら楽しく過ごしていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。』

 

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この記事を書いたひと

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武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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