News症例紹介院長のブログ

2020.09.12

痛みから始まる軟骨肉腫 〜断脚という治療法〜

犬の軟骨肉腫とは

骨の腫瘍にも良性と悪性とがあります。
良性の場合は体の別の部位へ腫瘍が広がることはなく、生命の危険度はほぼありません。
これに対し悪性の場合は転移を起こして広がっていくため、生命に危険が及びます。

多くの骨腫瘍は悪性で、強い痛みを伴うとされています。
そのような場合は早急に手術をするかどうか決める必要があり、手術によって不快感を軽減し、良い生活の質「Quality Of Life」をもたらすチャンスもでてきます。

悪性腫瘍の代表は骨肉腫ですが、そのおよそ90%が、すでに肺転移を起こしています。

軟骨肉腫は骨肉腫よりも悪性度は低いのですが、再発することが多い腫瘍とされています。

症例紹介

フレンチブルドッグのHちゃんは8歳の男の子。

左後ろ足の痛みで来院されました。

後ろ足の付け根(左大腿部)に大きな腫れ(直径10cm)があります。

手術前のレントゲン写真。骨の変化はあまり無いようです。

骨ではなく、関節と筋肉に腫瘍があることがわかったので、

腫瘍の一部に針を刺して組織検査(コア生検)を行いました。

検査結果は「軟骨肉腫」。

悪性度の強いガンです。

すでに腫瘍は太ももから股関節の筋肉を巻き込んでいるため、

命をつなぐには後ろ足を切断する必要があります。

この手術を「断脚術」と言います。

とても辛い選択でしたが、飼い主さんは手術を決断されました。

手術中の画像です。

 

 

 

 

断脚術には大きく分けて、膝を残す方法(膝関節温存)、股関節まで切る方法(体幹部断脚)、骨盤まで切る方法(骨盤半切術)などがあります。

今回、腫瘍は股関節まで達していたため、骨盤の骨まで切除する必要も考えられましたが、

早期の診断が功を奏して、骨盤ギリギリで腫瘍を取り切ることができました。

切除した足のレントゲン写真。腫瘍はとり切れているようです。

 

 

 

 

切除後の病理検査では、悪性度を示す分裂指数は10視野合計で6でした。

軟部組織にできた腫瘍では、分裂指数が9以下の場合は比較的予後が良いとの報告が多数あります。

今回の腫瘍は比較的、悪性度が低いと考えられました。

とはいえ、軟骨肉腫は再発率の高い悪性腫瘍のため、手術後も気を抜くことはできません。

手術後の様子。本人はいたって元気に過ごしています。

再発や転移のチェックをしながら経過を見ていきました。

 

そして、、、Hちゃんは今年で13歳になります。

ガンを切除してから5年を迎えました。

嬉しいことに、一回の手術で根治することができたといえます。

 

軟骨肉腫の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。

 

あれ??何か太ももが腫れてない?
そういえば最近体重が減っているかも・・・・
お尻を触ると嫌がるようになった???

等々何か異変を感じた場合は、当院までご相談下さい!!!

 

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この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

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武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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