犬の形質細胞腫とは

形質細胞はリンパ球という血液細胞の仲間です。

形質細胞腫瘍には多発性骨髄腫、孤立性骨形質細胞腫、髄外性形質細胞腫などがあります。

 

病名悪性度症状
①孤立性骨性形質細胞腫まれ多発性に移行する可能性あり
皮膚・口腔形質細胞腫低悪性殆ど単発、多発性に移行する可能性あり
③消化管・直腸形質細胞腫悪性直腸・胃・食道・腎・脊柱管、転移性有り
④多発性骨髄腫非常に悪性全身の骨の溶解・さまざまな随伴症

皮膚・口腔の形質細胞腫は低悪性度の腫瘍とされており、転移することはまれです。

多発性骨髄腫は最も悪性度が高く、高粘稠度症候群や高カルシウム血症(15~20%)、網膜病変、眼底出血、病的骨折などの随伴症を引き起こすことが知られています。

犬の形質細胞腫の症例紹介

Tプードル 10歳 去勢オス

既往歴 歯肉炎

1ヶ月前に気づいた唇の端の小さなできもの

3日前には上唇にも少し大きめのしこりを見つけた。

表面はピンク色で、大きさは余り変わりない

犬の形質細胞腫の検査所見

体重5.38kg 体温38.6℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :良好、BCS4、PU/PD気味?、排便1日5回?
一般身体検査 :左口唇の端0.3cm、左上口唇0.5cm、両口唇の下端に0.1cmの腫瘤を認めた。

画像検査   :腎皮質の微小高エコー像
血液検査   :異常なし

細胞診:  独立円形細胞(乏色素性メラノーマ、形質細胞腫を疑う)

犬の形質細胞腫の外科治療

第10 病日 全身麻酔下でのパンチ生検を行いました

病理検査の結果は

①と③  形質細胞腫

②と④  線維過形成

切除後は補助療法なしで様子を見ることにしました。

形質細胞腫が命に関わることは稀ですが、今後も再発・転移に注意が必要です。

 

手術から7日後
手術から7日後

ご家族の感想

丁寧にみていただき、わかりやすくご説明いただけてとても安心しました。ありがとうございました!

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