News症例紹介

2019.11.01

犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

もうすっかり寒くなり、それに伴ってか今年は猫ちゃんの泌尿器疾患の来院が多いです。
猫ちゃんの飲水とご飯の種類には気を遣って下さいね。  

さて、今回は犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症例がいましたので、ご紹介します。
病名が長いですが、簡単に言うと自分の免疫なのに、自分の赤血球を破壊してしまい、貧血を起こす病気です。
原発の場合とリンパ腫や寄生虫感染、薬物投与などに続発して起こる場合があります。

診断は;除外診断、血液塗抹(球状赤血球、自己凝集など)、クームス試験など行います。

治療は;過剰になっている免疫を抑えるステロイドや免疫抑制剤を中心に、輸血消化器粘膜の保護血栓症の予防を行います。  

症例プロフィール:ミニチュアシュナウザー、12歳、避妊メス
臨床徴候:元気・食欲がない、発熱 40.2℃
血液検査:重度の非再生性貧血(Ht:15.6%、PLT:73000個/µL、Retic:4500個/µL)、ビリルビン軽度上昇
血液塗抹:球状赤血球出現、再生像あり(正染性赤芽球、多染性赤血球)、
血小板数充分(顕微鏡400倍1視野あたり 血小板1個 x 10000 概算)
エコー検査:脾臓腫大、その他著変認められず
胸部x線検査:著変認められず

診断:IMHA

治療:ステロイド2mg/kg、胃粘膜保護薬、アスピリン0.5mg/kg、
輸液、抗生剤、状態改善後に脾臓摘出   赤血球を破壊する免疫抗体は、脾臓で多く作られていると考えられており、
脾臓摘出によって薬の量を減らし、予後を改善する可能性が示唆されています。
人の自己免疫性溶血性貧血では脾臓摘出も慎重に実施されているようで、犬も人と同様なのでしょう。

今回の症例は輸血を行いました。
上手くコントロールができほっとしています。

当院は比較的供血犬に恵まれているとはいえ、健康なうちから血液型を知っておく事、
供血をしてくれるお友達を探すなど、いざという時の為に備えることは、
治療をスムーズに行ううえでも大変重要です。

IMHAは、血栓によって亡くなることが多い病気なので血栓予防をしながら、
上手にステロイドの量を調節しなければいけません。

よくステロイドを怖がる飼い主さんがいらっしゃいますが、慎重に使えばステロイドはなくてはならない非常に良いお薬ですね。  

以上、犬のIMHAのお話でした。

当院では供血犬を募集しています。
①20キロ以上の大型犬
②予防接種、フィラリア予防をしている
③これまでに輸血を受けたことがない
④採決時10分ほどじっとしていることが出来る
(動物の福祉上、麻酔を使用し供血をしたくないので、大型犬であればどの子でもというのがなかなか難しく)

上記のような募集要項がありますが、ぜひ我こそは!と思って頂ける方
ご協力いただけると大変ありがたいです。

大型犬の場合、一度に必要になる量が小型犬に比べて格段に多いです。
お散歩仲間や、兄妹等日頃から何かあった時の事を考え、
いざという時の為の備えをしておくことを
お勧めします。

ソルのお里のドゥードゥル仲間たち

初めての供血時もとてもお利口でした。
飼い主さんの日頃の訓練の成果ですね!
さすが!!!!

 

家畜病院ではスタッフを募集しています!

病院の受付嬢、看護士さん、トリマーさん、訓練士さん!!!動物が大好き!!!という方は是非ご連絡下さい。

働きながら学ぶこともできますよ!

笑顔の素敵なそこの貴方!

仲間になって下さい!動物達のために、何かできる事を!一緒に!!!

この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

このブログの監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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