News症例紹介院長のブログ

2022.07.17

くちびるにしこり?犬の 口唇に発生した形質細胞腫

犬の形質細胞腫とは

形質細胞はリンパ球という血液細胞の仲間です。

形質細胞腫瘍には多発性骨髄腫、孤立性骨形質細胞腫、髄外性形質細胞腫などがあります。

 

病名悪性度症状
①孤立性骨性形質細胞腫まれ多発性に移行する可能性あり
皮膚・口腔形質細胞腫低悪性殆ど単発、多発性に移行する可能性あり
③消化管・直腸形質細胞腫悪性直腸・胃・食道・腎・脊柱管、転移性有り
④多発性骨髄腫非常に悪性全身の骨の溶解・さまざまな随伴症

皮膚・口腔の形質細胞腫は低悪性度の腫瘍とされており、転移することはまれです。

多発性骨髄腫は最も悪性度が高く、高粘稠度症候群や高カルシウム血症(15~20%)、網膜病変、眼底出血、病的骨折などの随伴症を引き起こすことが知られています。

犬の形質細胞腫の症例紹介

Tプードル 10歳 去勢オス

既往歴 歯肉炎

1ヶ月前に気づいた唇の端の小さなできもの

3日前には上唇にも少し大きめのしこりを見つけた。

表面はピンク色で、大きさは余り変わりない

犬の形質細胞腫の検査所見

体重5.38kg 体温38.6℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :良好、BCS4、PU/PD気味?、排便1日5回?
一般身体検査 :左口唇の端0.3cm、左上口唇0.5cm、両口唇の下端に0.1cmの腫瘤を認めた。

画像検査   :腎皮質の微小高エコー像
血液検査   :異常なし

細胞診:  独立円形細胞(乏色素性メラノーマ、形質細胞腫を疑う)

犬の形質細胞腫の外科治療

第10 病日 全身麻酔下でのパンチ生検を行いました

病理検査の結果は

①と③  形質細胞腫

②と④  線維過形成

切除後は補助療法なしで様子を見ることにしました。

形質細胞腫が命に関わることは稀ですが、今後も再発・転移に注意が必要です。

 

手術から7日後
手術から7日後

ご家族の感想

丁寧にみていただき、わかりやすくご説明いただけてとても安心しました。ありがとうございました!

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この記事を書いたひと

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武信

浜松家畜病院院長

飼っている動物:大型犬2匹、小型犬2匹
趣味:音楽鑑賞・キャンプ
性格:まとめ上手

【メッセージ】
子供の時から動物好き、獣医師である祖父に憧れて、今に至ります。
はじめて担当した患者さんがガンで悩んでいたことから、腫瘍専門の獣医師に。
動物の病気に悩んだ時は、気軽に相談してください、一緒に考えます。

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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