アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とは?
アンギオテンシンは血圧調整にかかわるホルモンです。
ARBはこのホルモンの働きを抑えるお薬です。
動物用の薬剤ではテルミサルタン(ネコ用に販売されている「セミントラ」など)がこれにあたります。
「アンギオテンシンの働き〜その1〜」
強力に血圧を上昇させる作用があります。
・・・つまり、ARBはアンジオテンシン受容体を遮断して、血圧を下げます。
「アンジオテンシンの働き〜その2〜」
腎臓の糸球体の血管(輸出細動脈)を狭くして、糸球体の中の圧力(糸球体内圧)を上昇させます。
その結果、蛋白尿が増加し、糸球体過剰濾過を助長します。
・・・つまりARBは、その作用も抑制するため、腎臓に対して保護的に働きます。
ネコ慢性腎臓病の治療にARB
おさらいです。
ARBの作用は ①血圧をさげる ②蛋白尿を減らす
猫の慢性腎臓病の悪化要因である2点に効果があるのですから、ARBを使用することで、腎臓保護作用が期待できると考えられています。
例えば蛋白尿(UPC)については、下記の報告がされていて、蛋白尿のない猫ちゃんの方が長生きすることがわかっています。
上記のことから、猫の慢性腎臓病の進行予防のため、早期からARBを使用するのが推奨されています。
ただし、ARBそのものに腎臓病の進行を抑えて寿命延長効果があるかどうかは、まだ結論が出ていません。
現状では、長期間・大規模な比較試験の結果が出るまでは、効果には「個人差がある」と言う段階です。
ARBの副作用
投与開始後1〜2週間で血清クレアチニン値が上昇することがあります。
これは糸球体濾過量が減ることによる「見かけ上」の上昇ですので、あまり心配ないようですが、当院では飲み始める前と比較して30%までの上昇は許容範囲と考えています。
過度に上昇しなければ、そのまま飲み続けることによって腎保護作用が期待されます。
ARBの副作用を避けるには?
どんなに良いお薬も、脱水状態で投与すると逆効果です。しっかり水分補給を心がけましょう。
末期の腎不全で脱水している場合は、薬を与えないようにしましょう。
以上、このお薬を処方されたときは、上記のことに注意してくださいね。
ネコちゃんの腎臓病の辛さを少しでも和らげるために、薬が役立ってくれると良いですね!
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