扁平上皮癌とは
扁平上皮癌は皮膚やその他の組織に発生する悪性腫瘍です。
皮膚に発生した場合は切除により治癒しますが、鼻腔内などに発生した場合は手術で取り切ることが困難になります。
扁平上皮癌の症例紹介
トイマンチェスターテリア 避妊メス 13歳
心臓病で投薬治療中。
2週間前から、急に「オデコが膨らみ始めた」との主訴で来院しました。
扁平上皮癌の検査所見
体重4.8kg 体温38.0℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態 :良好、僧帽弁閉鎖不全症ステージC
一般身体検査 :前頭部右側から右眼の上にかけて、硬く隆起した腫瘤が認められた。
画像検査 :局所の骨浸潤像は認められず、遠隔転移なし
血液検査 :特記すべき異常所見なし
細胞診:軽度異型性を持つ上皮細胞がわずかに採取された
扁平上皮癌の治療
オーナーは確定診断のために、生検をご希望されました。
重度の心臓病のために全身麻酔はリスクが高いと判断し、局所麻酔と鎮静での一部切除を計画しました。
第30病日 「切除生検」実施。腫瘤は急速増大、固着と痛みを伴っていました。
腫瘍は骨膜に張り付くように皮下に存在。膨隆部を中心に二ヶ所生検しました。
術後病理診断は 「扁平上皮癌」
腫瘍細胞の異型性は中程度〜重度で、腫瘍細胞は増殖の中心部に角化をしていました。二ヶ所目の組織には肉芽組織の形成がありました。
扁平上皮癌の化学療法
皮膚の扁平上皮癌は、完全切除によって長期生存が期待できますが、今回は麻酔リスクを考慮して実施されませんでした。
鼻腔や前頭洞から発生した場合は挙動が異なりますが、全身麻酔が必要となるCT検査ができず原発病巣を探ることもできません。
上記のことから、本症例には分子標的薬による化学療法を実施しました。
写真では分かりづらいのですが、分子標的薬治療を始めて2ヶ月ほどで、手に触れる膨らみは完全に消失しました。
痛みが減って、耳の位置や表情も改善している様です。
ご家族の感想
『悪性と言われた時はショックでしたが、先生は病名がわかったから、治療法を考えられるしよかったんだよって言ってくれて前向きで心強く感じました。再発の心配はありますが、今のところ症状もなく落ち着いていて元気なので、治療を続けながら楽しく過ごしていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。』
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