News症例紹介院長のブログ

2019.06.26

足が腫れて痛い!骨肉腫の治療とは

犬の骨肉腫とは

骨の腫瘍にも良性と悪性とがあります。
良性の場合は体の別の部位へ腫瘍が広がることはなく、生命の危険度はほぼありません。
これに対し悪性の場合は転移を起こして広がっていくため、生命に危険が及びます。

多くの骨腫瘍は悪性で、強い痛みを伴うとされています。
そのような場合は早急に手術をするかどうか決める必要があり、手術によって不快感を軽減し、良い生活の質「Quality Of Life」をもたらすチャンスもでてきます。

 

悪性腫瘍の代表は骨肉腫です。
大型犬で最も多く発生し、発生年齢は1~2歳と7~8歳にピークがあります。
その4分の3が四肢に発生し、「肘から遠く、膝から近い」場所によく発生します。
骨肉腫を患ったイヌのおよそ90%が、すでに肺転移を起こしています。

過去のデータを元に治療法ごとの生存期間を比べると、手術のみ3~4ヶ月、手術と抗がん剤の併用治療1~2年となっています。
手術だけでなく、抗癌剤の併用療法で3〜6倍の治療効果が期待できる事になります。

 

症例紹介

9歳の秋田犬、半年前から前足の腫れと痛みを訴えていたそうです。

 

 

足の腫れはどんどん進行して、正常な足の倍以上に腫れ上がって、とても痛そうです。
検査の結果、骨を溶かしながら悪性腫瘍が増殖していることがわかりました。

 

 

骨が溶けて、皮膚が破れていく痛みを取るため、断脚手術をご提案しました。
飼い主さんは苦渋の決断を迫られましたが、痛みに耐える愛犬の辛さを考えて手術を決断されました。

 

 

腫瘍は肘まで及んでいたため、手術は肩を含む体幹部断脚となりました。
足先だけの切除なら義足の設置もできるのですが、今回はしっかり取り切る事を優先しました。

 

無理に肘から先を残しても、擦れて炎症や出血を起こすリスクが高まります。
年齢を考えると義足に慣れさせるための長期間の練習も負担になると思われました。

肩と脇の下にあった異常に腫大したリンパ節も同時に切除できました。

 

 

全ての手術が終わって、病理検査を待つ2週間のあいだに、痛みから解放された秋田犬くん、みるみる元気に回復を見せました。

他の足の負担を避けるために、歩行に補助が必要なはずですが、そんな事おかまいなしに飛び跳ねるようになったのです。

飼い主さんの苦渋の決断が功を奏し、我々の努力も報われた瞬間でした。

 

 

病理検査はやはり、骨肉腫でした。
異常に腫れていたリンパ節も転移ではなく感染によるものだったことがわかりました。
今回の腫瘍は比較的おとなしいタイプだったこともあり、抗癌剤を使わずに経過を見ていくことになりました。

 

骨肉腫の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
かかりつけ病院をお探しの方、近郊であれば下記リンクをご覧いただき、問診フォームからお問合せ、ご予約をお願いいたします。すでに他の病院にかかられている方でも、どのように治療を進めていけば良いかのアドバイスやセカンドオピニオンなど、お役に立てるかもしれません。

 

 

 

 

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この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

このブログの監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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