News症例紹介院長のブログ

2019.07.13

猫のインスリノーマ

 

インスリノーマについて

  膵臓のβ細胞が腫瘍化する病気で、ネコでは大変珍しい疾患です。 膵臓のベータ細胞はインスリンを分泌する働きを持っていて、この病気にかかるとインスリンが無差別に、大量に分泌されます。 インスリンが血糖値を下げてしまうので、「低血糖症」が発症してしまいます。  

インスリノーマの症状

血糖値が下がって、元気がなくなり、進行するとけいれん発作や虚脱(ぐったり)状態が現れます。 ウィップルの三兆候と言われる下記の症状が診断の決め手になります。 ・空腹時低血糖に伴う神経症状発作 ・発作時の低血糖 40mg/dl以下 ・ブドウ糖投与や給餌による症状改善

インスリノーマのステージ分類(犬)

1:膵臓内の腫瘤のみ 2:局所リンパ節転移 3:遠隔転移(通常は肝臓) *犬ではステージ1〜2では1年以上の予後が予測され、外科治療を行なった方が生存期間が長いことがわかっています。 猫では大変稀な病気であるため、詳しいことは良くわかっていません。  

インスリノーマの治療

治療には内科治療と外科治療があります。 内科療法は高価で、長期間の効果が見込めないので、可能であれば膵臓腫瘍の外科摘出が推奨されています。 インスリノーマは大変小型で肉眼的に判別が難しいことがあり、その場合は膵臓の半分を切除します。    

症例紹介:ネコのインスリノーマ

 

  12歳のネコ 初診日:最近後ろ足がふらつく、けいれん発作が起きたとのことで来院されました。
空腹時血糖は40mg/dlで、低血糖時のインスリン濃度が高値でした。
血糖値がこんなに低いのに、さらにインスリンが出ているのは異常な事です。
超音波検査で明らかな腫瘤は認められなかったものの、上記の症状から開腹手術に踏み切りました。

手術では膵臓の左側に小さな腫瘤が認められたため、膵臓の左半分を切除しました。
病理検査は比較的良性なインスリノーマと診断されました。
手術後は血糖値も徐々に安定し、回復に時間はかかりましたがすっかり良くなりました。

なんと3年間にわたって、まったく無治療でも元気でいることができたのです。  

ところが3年後、突然に症状が再発しました。
今回も腫瘍は術前検査で確認できませんでしたが、再発を疑って再手術を行いました。
手術中も肉眼では腫瘍の確認ができず、前回手術した近くの膵臓の一部を切除しました。  
でも病理検査では確定診断に至りませんでした。

つまり、どこかに転移している可能性もあるということです。
2回目の手術後は少し改善し、発作は見られなくなりましたので、
オクトレオチドなどを使用した内科療法で自宅治療を行ないました。

今のところ、徐々に注射を減らしていく事もできて元気に過ごしています。
 隠れた転移がいつ発症するかわかりませんが、定期検査しながら経過を見ていく事にしています。  

 インスリノーマの治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。

 

 

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すでに他の病院にかかられている方でも、どのように治療を進めていけば良いかのアドバイスや
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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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