News症例紹介院長のブログ

2019.07.19

乳腺癌の肺転移に化学療法は有効か?

浜松家畜病院 訪問看護

犬の乳腺癌の肺転移について

犬の転移性肺がんに抗がん剤を使うべきか否かは、

感染のリスクがあったり、明らかなエビデンスが無いこともあり、議論の分かれるところです。
ガイドラインでは

   ・数ヵ月以上にわたり体調がよく、局所がコントロールできていること

   ・転移巣の増数が緩やかであること  などがあげられます。

当院ではオーナー様とご相談の上、できるだけQOLを落とさないように抗がん剤治療を行っています。

 

症例紹介

Cちゃんは9才のミックス犬、人懐こい性格で町のアイドルです。 5年前からある胸のしこりの急速増大を主訴に来院されました。
$ドッグギャラリークリニック-局所 診断の結果は悪性乳腺腫瘍です。
ただし、詳しい検査の結果、肺と脾臓にも腫瘍があることがわかりました。
特に肺の腫瘍は増大増数が速く、転移性肺癌の疑いが濃厚です。
このような症例では全ての腫瘍を手術で取りきったとしても、 全身に散らばったがん細胞がすぐに再発するおそれがあります。
そこで、

①乳腺腫瘍にはメスを入れない光温熱療法
②肺腫瘍には3週に1回の抗がん剤治療
③脾臓腫瘍は経過観察

を提示しました

$ドッグギャラリークリニック-PDHT

$ドッグギャラリークリニック-初診時肺
治療開始から1ヶ月、光温熱療法により乳腺腫瘍は増大しなくなり、 問題が肺腫瘍に絞られたため、治療は抗がん剤をメインに進められました。

$ドッグギャラリークリニック-6ヵ月後肺

治療開始から6ヶ月、 肺腫瘍は増大していますが、呼吸状態は比較的安定していて、 大好きなお散歩は毎日欠かさずいくそうです。

 

このころから治療目的はガンを押さえ込むことではなく、 痛みや呼吸困難を取り除く対症療法にシフトして行きます。
今回の治療はいたずらな延命でなく、 残された時間を快適に過ごすために行われました。
難治性の末期がんでも、つらい思いをさせないために 行うがん治療もあると考えています。

 

Cちゃんはなんと言っても町のアイドルです。 ガンがあっても元気に散歩するその姿が、 今もご近所のみんなを力づけているそうです!

 

根治が目的でない治療もあります。
見つけてあげるのが遅かったと悲しむ前に、
今できることを一緒に考えましょう。
やれることはたくさんあります!!!

最後の時を迎えるのはとても悲しいことですが
看取ることが私たちの最後の使命です。
少しでも苦痛を減らすことができたら・・・・

乳腺腫瘍や転移性肺腫瘍の治療など、
犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、
いつでもご相談ください。
かかりつけ病院をお探しの方、
近郊であれば下記リンクをご覧いただき、
問診フォームからお問合せ、ご予約をお願いいたします。
すでに他の病院にかかられている方でも、
どのように治療を進めていけば良いかのアドバイスやセカンドオピニオンなど、
お役に立てるかもしれません。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ クリックして下さい

この記事を書いたひと

アバター

浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

このブログの監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
RECRUITトータルペットケアセンター採用情報スタッフ募集中

MESSAGE FROM THE OWNER

INQUIRY FORM

この「問診フォーム」は簡易的な問診です。実際にご来院いただき正確な問診・診断をさせて頂ければと思います。

Googleフォームから問診を送る

お問合せは営業時間内にご対応させていただきます。
定期的に確認はしておりますが、すぐにご対応ができない場合もございます。
予めご了承くださいませ。営業時間:9:00~19:00(日・祝日および年末年始の休業日、臨時休診日を除く)
お返事は、いただいたお問合せに対する回答をお客さま個人様にお送りするものとなります。転載、二次利用することはご遠慮ください。
浜松家畜病院は、個人情報の重要性を認識し、個人情報に関する法令、社内規程等を遵守し、当社の事業活動のすべてにおいて、当社で取り扱う個人情報の取得、利用及び管理を適正に行うことにより、お客様の個人情報を守ります。
reCAPTCHA で保護されています。プライバシーポリシー/利用規約

[休診] 日・祝祭日

学会参加などで、臨時休診する場合があります。
獣医師シフト表で臨時休診日をご確認下さい。

[休診日の診察]

グループのドッグギャラリークリニックで対応します。

ドッグギャラリークリニックについて

専門医療診察は一部予約制になります。
前もってお電話でご予約下さい。

                   

浜松市中央区のがん治療を中心とした外科治療・健康診断・予防接種は浜松家畜病院で

浜松家畜病院(はままつかちくびょういん)
浜松家畜病院 診断書診療一覧
電話する
053-452-4429
24時間web予約
(再診限定)