Newsスタッフブログ

2020.11.30

問診力の重要性

お久しぶりです!

コロナウイルス騒動などなどでブログの更新が滞っておりました大山です

最近はフレンチプレス(コーヒーに使う道具)を買いまして美味しいコーヒーを

飲むことにはまっております

 

さてさて、話は変わりまして僕らが行う診察というものの流れについてお話しようと思います。

まず、病院に入って、受付の方に「今日はどうされましたか?」と聞かれると思います。

ここ、すごく大切です。

 

☆獣医さんはちょっと言いづらいこととかを言ってもらう

☆問診ではなく、日常会話の内容に実は病気に繋がる情報がある

 

この点で診察室の外での会話の重要性があります

病院が混みあっていないときは是非是非会話を弾ませて下さい

 

次に診察室に入ってからですが、ここで僕らが行うことが問診です。

一般的には

元気があるか(普段を100とするとどれくらいか)

食欲があるか(普段を100とするとどれくらいか)

吐いてはないか

下痢はないいか

息は荒くないか

痛い所はないか

…etc

挙げればきりがありませんね 笑

 

これは動物に負担を与えず、かつ特別な費用もかからず、

病気を探れる費用対効果最強の検査なんです

 

なので、「こんなこと言っても意味無いかな」とか「こんなこと言うのは恥ずかしい」とか

思わずにどんどん色んな情報を教えてください。

なので、僕は一般検査に入る前の話が多分、長いと思います 笑

皆さま鬱陶しがらずお付き合いください

 

では具体例をあげてみましょう

 

〈症例1〉

MIX犬 14歳 去勢雄

1週間前からたまに吐いて食欲が落ちている。

ごはんはずっと同じものを与えている。

便は少し柔らかい。

 

さて、ここで問診が十分と思い血液検査や画像検査を実施しても、この子の

病気の原因ははっきりしません。

ここで重要だった問診内容は

 

・ドッグフードを開封してどれくらい経過したのか?

 

でした。体も20㎏近くあり、大きなサイズのドッグフードを購入していたのこと。

しかし、開封してから使い切るのに2~3カ月かかっているとのことでした。

 

これが症状の原因でした。フードを1か月で使い切れるようなサイズを購入をし始めたところ

特別な治療はせず吐き気も止まり、食欲も改善しました

 

ドッグフードはかりかりしていて一見、乾物にみえますがあくまで新鮮食品です。

開封してからは徐々に酸化していき1カ月以上たった頃には成分的には腐敗しているような

状態ですので皆様ご注意ください。*見た目やにおいでは中々判断できません*

 

若いころは胃腸の抵抗力が強いのである程度耐えられますが中高齢になると胃腸の抵抗力も低下してくるため

症状が顕在化してきます。

 

<症例2>

フレンチブルドック 5歳 避妊雌 

皮膚炎が治らない

一般的な感染除外をして一時的にはよくなるものの、再発を繰り返していました。

詳細は割愛しますが、アレルギー性皮膚炎とは少し違う様子です。

悩んだ末に再度、改めて詳しく問診しました。

 

・シャンプーをするときのやり方を始めから最後まで具体的に教えてください。

 

ここに原因がありました。

全ての犬、特に毛の太い犬種についてはシャンプーを泡立てようと

毛を逆撫でてはいけないのですが薬用シャンプーの泡立ちが悪く毛を

わしゃわしゃ前後に撫でていたようです

犬の毛は一つの毛根から何本も生えていてその隙間にシャンプーは残留しやすく

逆撫でるとさらに毛根の奥にシャンプー剤が入り込んで毛包炎をおこします。

お家でシャンプーをするときは

 

温度:37度前後

シャンプー:洗顔用のスポンジなどできめ細かい泡を作ってから使う

      毛並みに沿ってシャンプーを浸透させる

洗い流し:5分以上(一見泡が無くてもシャンプー剤は残っています

 

です。

 

いくつか豆知識は入りましたが、このように臨床検査では結果が得られない

かつ病名の付かない症状もあるため、問診というのは本当に大切です

 

愛するわが子をよく観察し、どんな些細な事でもいいので教えて下さい

その小さな情報からその子が何に困っているかを考えるのが僕らのお仕事です

この記事を書いたひと

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大山

浜松家畜病院勤務医

獣医がん学会に所属し、腫瘍科Ⅰ種認定医の武信行紀先生のもと
日々、学習しております。
動物たちにとって最善の治療方針を飼い主さまと一緒に話して考えて
決めて歩んでいくことが信条です。
お気軽にお声かけ下さい。

【飼っている動物】犬×3 猫×2 ファンシーラット×2 レオパ×2
【好きな食べ物】ラーメン、魚介類
【趣味】動物鑑賞、映画鑑賞、温泉(自粛中)

    このブログの監修

    武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

    武信行紀(たけのぶゆきのり)

    治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

    経歴:

    • 鳥取県鳥取市出身
    • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
    • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
    • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
    • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

    所属学会・研修:

    • 日本獣医がん学会
    • 獣医麻酔外科学会
    • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
    • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

    主な執筆・学会発表

    • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
    • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
    • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
    • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
    • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
    • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
    • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
    • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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