こんにちは。獣医師の竹田です。
ペットブームに子犬だった子もお年寄りになり、最近では心臓病を持つ犬が多くなってきました。
適切な判断の下、治療を行わないと気付かない間に進行してしまい、手遅れになってしまうことがあります。
今回は、高齢の犬で最も多い心臓病、僧帽弁閉鎖不全症についてご紹介します。
症例
チワワ、去勢オス、10歳、3kg
無症状だが、聴診で収縮期心雑音(Levine:2/6)を認め、心エコー検査を実施
心エコー検査:左心の拡張と僧帽弁逆流を認めた(LA/AO:1.59 <1.6 )(LVIDd:1.91cm)(Ev:0.68 <0.8 m/s )(Aov:0.87 >0.8 m/s)
診断:僧帽弁閉鎖不全症(軽度-中等度)
犬の僧帽弁閉鎖不全症の場合、特にE波というところをチェックします。
通常は0.8m/s以下ですが、1.0-1.2m/sを超えると肺水腫のリスクが非常に高いことを意味します。
肺水腫は呼吸困難になり、致死的でとても苦しい状態です。
最近では、循環器専門施設で、外科治療を行える所も増えてきましたが、まだまだ内科治療に頼らざるを得ないのが現状です。
定期的に心臓病の進行を評価し、内科治療で上手くコントロールできれば、最悪のシナリオを避けることができます。
お家では、安静時の呼吸数を測り、40回/分を超えなていないかモニターすることが重要で、呼吸数が多い場合は、早めの動物病院での対応が必要になります。
以上、身近な心臓病のお話でした。