猫の皮膚扁平上皮癌について
扁平上皮癌(SCC)は猫の皮膚腫瘍の、およそ15%を占めています。
色素の薄い皮膚に認められ、太陽光線への暴露との関連性が示唆されています。
主な発生部位は鼻鏡、眼瞼、耳介で、そのうち30%では多発性です。
猫の皮膚扁平上皮癌の診断
まず愛猫の全身状態をみるのに身体一般検査が必要です。
それには血液検査やレントゲン検査や針生検が含まれます。
その後の診断と治療の流れは以下のとおりです。
- まず悪性かどうかを調べるために、腫瘍の一部を病理学検査に提出します。
- 扁平上皮癌が強く疑われる場合は大きく切り取り、手術後に病理検査をします。
- 癌が大きい場合や、周囲への浸潤が強い場合は手術で完全にとりきることが難しくなってきます。
このような場合は残りのガン細胞をやっつけるために、放射線療法や光線療法を週に1回行います。 - レントゲン検査などで、再発と転移がないか確認することが必要です。
猫の皮膚扁平上皮癌の治療
一般的に、局所浸潤性が強く、遠隔転移性の少ない腫瘍のため、外科切除か放射線・光線力学療法などによる局所治療が適応されます。
初期には外用薬療法も検討されます。
その他に化学療法もありますが、効果的な治療は確立されていません。
- 外科手術:顔面・耳介にできる扁平上皮癌は、小さいちに治療すれば、予後は良好です。
腫瘍だけを切り取るのでは意味がなく、周囲の皮膚も切除することが必要です。 - 放射線治療:初期であるほど、有効であることが示唆されています。
- 光線力学療法:Tis〜T1では完全寛解75%、T2以上では完全寛解30%です。
残念なことに、腫瘍が進行している場合や衰弱している猫の予後は非常に難しいとされています。
また特殊な例として、指に発生した場合は要注意です。
転移性指腫瘍の場合は非常に予後が悪く、指原発の場合は比較的良いとされています。
症例紹介
14歳の避妊猫、
最近鼻のの表面に出血とかさぶたが出来ているそうです。
細胞診と病理検査を行ったところ、扁平上皮癌と診断されました。
飼い主さんは、早期の根治をめざして外科手術を決断されました。
愛する飼い猫の外貌に変化の起きる手術ですから、大変な決心であったと思います。
もちろん、進行してしまえば外観は大きく損なわれますし、手術が不可能になってしまいます。
直ちに切除手術が行われました。
この手術は鼻先を全て切除してしまう手術です。
取り残しのないように大きめに切り取っています。
手術後の外貌の変化は最小限に抑えられました。
術後経過も良く、すぐに鼻血もなくなり、元気になりました。
飼い主さんの決断が早かったおかげで、早期治療が可能になりましたので、抗癌剤や放射線治療も必要なく、経過を観察することになりました。
→その他の皮膚扁平上皮癌についてはコチラ
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