マイボーム腺腫とは?
眼瞼(まぶた)の縁にはマイボーム腺があり、目を保護する油性の涙を分泌しています。このマイボーム腺から発生する良性腫瘍が「①マイボーム腺腫」です。犬では比較的よくみとめられる眼瞼の良性の腫瘍ですが、大きくなると角膜や結膜を傷つけたり、流涙の原因となります。治療は外科的切除を行います。また眼瞼にはマイボーム腺腫以外の悪性腫瘍が発生することもあるため、切除した腫瘤の病理組織学的検査も行います。
その他、まぶたの出来物としてよくある見られる病名には他にも、下記があります。
「②麦粒腫」はいわゆる「ものもらい」で、マイボーム腺に細菌が感染して炎症を起こしたものです。
「③霰粒腫」はマイボーム腺が詰まって炎症を起こしたもので、切開し貯留物を出すこともあります。
病名 | 原因 | 症状 | 治療法 |
①マイボーム腺腫 | 良性腫瘍 | 目の縁の腫瘤 大きくなると角膜損傷 | 外科切除 |
②麦粒腫 (ものもらい) | 細菌感染 | まぶたの腫れ、 痛みや違和感、膿が出る | 内科治療 |
③霰粒腫 | 油分の貯留 | まぶたの腫れ、痛み 急激に悪化することも | 温罨法や切開 |
犬の眼瞼腫瘍の症例紹介
シーズー 8歳 オス
以前からある右眼の上まぶたのしこりが出血してきた、と来院されました。
犬の眼瞼腫瘍の検査所見
体重9.9kg 体温38.2℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態 :良好
一般身体検査 :病変部以外、異常なし
眼科検査:右上眼瞼縁の正中に自潰した腫瘤、角膜潰瘍(フルオレセイン染色)
血液検査 :異常なし
細胞診:好中球と組織球(有意な細胞なし)
犬の眼瞼腫瘍の外科治療
眼瞼腫瘍の外科切除術を行いました
縫合糸が角膜に刺激を与えないように、工夫して縫合します
手術後の病理検査は良性の「マイボーム腺腫」でした
手術後の様子
ご家族の感想
一時は目を取らなくてはならないかと思いましたが、よくなって良かったです。
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