犬の肝臓腫瘍とは
初期には自覚症状がなく、嘔吐や腹痛などが起きて初めて見つかることが一般的です。
従って発見時には相当大きいことも珍しくなく、早急に手術をするかどうか決める必要があります。
外科手術で完治を目指しますが、非常に大きな腫瘍や肝臓内で転移している場合は根治できないこともあります。
しかし、症状を軽減して良い生活の質「Quality Of Life」をもたらす「緩和効果」や、病理検査による「確定診断」の意義があります。
肝臓腫瘍の症例紹介
ビーグル 去勢オス 9歳11ヶ月
定期的に実施している健康診断で、肝臓の数値に異常が見つかりました。
念の為、超音波検査を行ったところ、肝臓に腫瘍が見つかりました。
既往歴:甲状腺機能低下症・皮膚腫瘍(切除済み)
犬の肝臓腫瘍の検査所見
体重18.15kg 体温38.6℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態 :良好
一般身体検査 :特記すべき異常所見なし
画像検査 :肝臓腫瘍
血液検査 :肝酵素上昇
細胞診 :異形の少ない肝細胞
オーナーは診断と治療をかねた腫瘍切除を希望されました。
犬の肝臓腫瘍の治療
第21病日 「肝葉切除術」実施。
肝臓の内側左葉には3cm大のピンク色の腫瘍が認められました。
肉眼上では確認できない腫瘍が隣接して触知されたので、超音波吸引装置を用いて一括切除を行いました。
麻酔に問題はなく、覚醒も良好でした。
術後の病理診断:「肝細胞癌 マージンクリア」
手術画像をご覧になる場合は、下の画像をクリックしていただくと大きな画像が開きます
犬の肝臓腫瘍(肝細胞癌)のまとめ
肝細胞癌は治療しなければ半数以上が1年以内に死亡すると考えられています。(中央生存期間270日)
手術により完全切除できれば予後は良好で、中央生存期間は1500日以上です。ほぼ完治と言って良いでしょう。
また、完全切除できない場合でも、ある程度切除することで他の臓器への圧迫や巻き込みを遅らせて、生活の質の向上と延命効果(数年)が期待できます。
*上記のような統計(中央生存期間)は、治療の効果を比較するための数値です。決して余命宣告ではありませんので、気を落とさないで下さいね。
本症例は外科手術のみで半年経過しましたが、元気に過ごしてくれています。
筆者が研修医時代、大学病院では肝細胞癌の転移率が19%でした。
これは決して侮れない数値ですので、今後も要注意で経過観察をしていきます。
ご家族の感想
「元気でしたが9歳11ヶ月の時、肝臓癌を指摘されました。
絶食検査が難しくて、2年ほど血液検査をしてなかったことが悔やまれます。
現在、手術をして4ヶ月を過ぎましたが、食欲もあり元気にしています。
出来る限りの事をしてあげたいので、食事・サプリ・水なども工夫しています。
一日でも苦しくなく長生きして欲しいと思っています、よろしくお願いします。」
肝臓癌の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
あれ??何か元気ない?
そういえば最近体重が減っているかも・・・・
触ると嫌がるようになった???
等々、何か異変を感じた場合は、当院までご相談下さい!!!
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