News症例紹介院長のブログ

2019.06.18

アゴが腫れてる!猫の口腔扁平上皮癌

猫の口腔扁平上皮癌について

扁平上皮癌(SCC)は猫の口腔腫瘍の、およそ8〜9割を占めています。
口の中ならどこにでも発生しますが、下顎→舌下→上顎→咽頭の順に治療しづらくなります。

一般的に、局所浸潤性が強く遠隔転移性の少ない腫瘍なので、外科切除か放射線・光線力学療法による局所治療が適応されます。

猫の口腔扁平上皮癌の診断

猫は口の中をあまり見せてくれないので、発見しづらい腫瘍です。
また、慢性口内炎と間違いやすいため、注意が必要です。

 

 まず愛猫の全身状態をみるため身体一般検査が必要です。これには血液検査やレントゲン検査や針生検が含まれます。

 

 次に悪性かどうかを調べるために、腫瘍の一部を病理学検査に提出します。

 

 扁平上皮癌が強く疑われる場合は大きく切り取り、手術後に病理検査をします。

 

 手術の前後は胃チューブを設置して栄養補助をする必要があります。

 

 レントゲン検査などで、再発と転移(おもに肺転移)がないか確認することが必要です。

 

猫の口腔扁平上皮癌の治療

 外科手術 

扁平上皮癌の手術は、しこりだけを切り取るのではなく、まわりの健康な組織も含めて切除します。
小さな癌であれば手術でほとんどが治癒しますが、癌が大きい場合や、周囲への浸潤が強い場合は手術で完全にとりきることが難しいこともあります。
このような場合は残りのガン細胞をやっつけるために放射線療法をなど行います。

 

 放射線治療

手術のできない場所に発生した場合や、手術で取りきれな買った場合に実施されます。
初期であるほど、有効であることが示唆されています。

 光線力学療法

確立されていませんが、温熱と抗がん剤を組み合わせた治療法があります。

 化学療法

トセラニブ、ブレオマイシン、サリドマイドなど、様々な薬剤の組み合わせが試されています。
また、近年では動注療法での治療も試みられています。
残念ながら、この病気に確立された化学療法は発表されていません。
そのため、長期の内科管理は難しいとされています。

 

 

 その他

症状を緩和する治療法としてビスフォスファネートによる、顎骨溶解抑制、疼痛緩和、抗腫瘍効果が少数ですが発表されています。
ただ残念なことに、腫瘍が進行している場合や衰弱している猫の予後は非常に難しいとされています。

 各治療の生存期間中央値での比較

過去の報告では下記のように治療成績が報告されています。

  • 外科手術のみ  2ヶ月
  • 放射線のみ   3ヶ月
  • 外科+放射線  6〜12ヶ月。

上記の日数は比較のための数値です。各症例の寿命を予告するものではありません。

 

 

症例紹介

13歳の男の子

右の下顎が腫れていることに気づいて来院されました。
そういえば、最近食欲がなかったとのこと。
確定診断のために部分的に生検を行いました。

病理検査の結果は「扁平上皮癌」

高齢とはいえ、顎の痛みさえなければまだまだ元気な子です。
飼い主さんは悩んだ結果、顎を切除する外科手術を決断されました。

 

 

手術中画像ですので、苦手な方はご遠慮ください。 画像をクリックすると大きな画像が開きます。

 

 

 

顎を失うことにはなってしまいましたが、
外科手術によって「がん」をすべて取り除くことに成功しました。


手術後はしばらく自宅での胃チューブ食での生活が続きましたが、飼い主様の努力で乗り切りました。

手術から半年経過した今では、自力で食事が取れるようになり、ほとんど治療を必要としなくなりました。

飼い主さんの決断と猫ちゃんの頑張りが実を結び、私たちも報われた思いです。

Rちゃん、とっても可愛いんですよ。本当に良かったですね!

 

 

→その他の扁平上皮癌についてはコチラ

扁平上皮癌の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
かかりつけ病院をお探しの方、近郊であれば下記リンクをご覧いただき、問診フォームからお問合せ、ご予約をお願いいたします。すでに他の病院にかかられている方でも、どのように治療を進めていけば良いかのアドバイスやセカンドオピニオンなど、お役に立てるかもしれません。

 

 

 

 

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この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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