ねこブログ症例紹介院長のブログ

2019.10.07

鼻にかさぶた?猫の皮膚扁平上皮癌

猫の皮膚扁平上皮癌について

扁平上皮癌(SCC)は猫の皮膚腫瘍の、およそ15%を占めています。
色素の薄い皮膚に認められ、太陽光線への暴露との関連性が示唆されています。
主な発生部位は鼻鏡、眼瞼、耳介で、そのうち30%では多発性です。
 

猫の皮膚扁平上皮癌の診断

まず愛猫の全身状態をみるのに身体一般検査が必要です。
それには血液検査やレントゲン検査や針生検が含まれます。
その後の診断と治療の流れは以下のとおりです。

  1. まず悪性かどうかを調べるために、腫瘍の一部を病理学検査に提出します。
  2. 扁平上皮癌が強く疑われる場合は大きく切り取り、手術後に病理検査をします。
  3. 癌が大きい場合や、周囲への浸潤が強い場合は手術で完全にとりきることが難しくなってきます。
    このような場合は残りのガン細胞をやっつけるために、放射線療法や光線療法を週に1回行います。
  4. レントゲン検査などで、再発と転移がないか確認することが必要です。

 

猫の皮膚扁平上皮癌の治療

一般的に、局所浸潤性が強く、遠隔転移性の少ない腫瘍のため、外科切除か放射線・光線力学療法などによる局所治療が適応されます。
初期には外用薬療法も検討されます。
その他に化学療法もありますが、効果的な治療は確立されていません。
 

  • 外科手術:顔面・耳介にできる扁平上皮癌は、小さいちに治療すれば、予後は良好です。
    腫瘍だけを切り取るのでは意味がなく、周囲の皮膚も切除することが必要です。
  • 放射線治療:初期であるほど、有効であることが示唆されています。
  • 光線力学療法:Tis〜T1では完全寛解75%、T2以上では完全寛解30%です。

残念なことに、腫瘍が進行している場合や衰弱している猫の予後は非常に難しいとされています。

また特殊な例として、指に発生した場合は要注意です。
転移性指腫瘍の場合は非常に予後が悪く、指原発の場合は比較的良いとされています。

症例紹介

14歳の避妊猫、

最近鼻のの表面に出血とかさぶたが出来ているそうです。
細胞診と病理検査を行ったところ、扁平上皮癌と診断されました。

 

 

飼い主さんは、早期の根治をめざして外科手術を決断されました。
愛する飼い猫の外貌に変化の起きる手術ですから、大変な決心であったと思います。

もちろん、進行してしまえば外観は大きく損なわれますし、手術が不可能になってしまいます。
直ちに切除手術が行われました。

 

 

 

手術中画像ですので、苦手な方はご遠慮ください。 画像をクリックすると大きな画像が開きます。

 

 

 

この手術は鼻先を全て切除してしまう手術です。
取り残しのないように大きめに切り取っています。

 

 

 

 

手術後の外貌の変化は最小限に抑えられました。
術後経過も良く、すぐに鼻血もなくなり、元気になりました。

飼い主さんの決断が早かったおかげで、早期治療が可能になりましたので、抗癌剤や放射線治療も必要なく、経過を観察することになりました。

 

 

→その他の皮膚扁平上皮癌についてはコチラ

 

扁平上皮癌の治療など、犬猫の病気の治療をどうすれば良いか分からない場合は、いつでもご相談ください。
かかりつけ病院をお探しの方、近郊であれば下記リンクをご覧いただき、問診フォームからお問合せ、ご予約をお願いいたします。すでに他の病院にかかられている方でも、どのように治療を進めていけば良いかのアドバイスやセカンドオピニオンなど、お役に立てるかもしれません。

 

 

 

 

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この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

このブログの監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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