News症例紹介

2016.04.04

首にしこり?

こんにちは。獣医師の竹田です。
もう桜も満開で晴れ晴れとしていますね。 さて、この場を借りて一つご報告があります。
この4月から、麻布大学の腫瘍科で、専科研修医として勉強させて頂くことになりました。

 

それに伴い、竹田は、水曜日、木曜日を不在とさせて頂きます。
多少なりとも、飼い主様や周りのスタッフにご迷惑をお掛けしますが、
学んできたことを皆様に還元できればと思っています。 よろしくお願いします。  

前置きが長くなりましたが、今日紹介する症例は、ずばり甲状腺癌です。
首にできるしこりは、まず触診により、甲状腺、下顎腺(唾液腺)、リンパ節に、
さらに画像検査や細胞診を用いて、良性もしくは悪性腫瘍、炎症、膿瘍、嚢腫などに鑑別されます。  

甲状腺とは? 生体の代謝に関わる重要な甲状腺ホルモンを産生し、
分泌する組織 第6-7気管軟骨の両側(右葉左葉)に位置 し大きさは、およそ3.5 x 1.2 x 0.5 cm

血中Ca濃度を調節する上皮小体(副甲状腺)が甲状腺に隣接  

犬の甲状腺癌とは?

犬の甲状腺腫瘍の約半分は、良性かつ微小ですが、 触知可能な大きい甲状腺腫瘍は、多くが悪性 とされています。

甲状腺癌は、60%が両側性で周囲組織(食道、気管、血管、神経)に浸潤、リンパ節や肺転移を起こす高悪性度の腫瘍です。

転移率は初診時に40%、最終的に80%と報告されています。

甲状腺の周囲には、重要な気管、食道、神経、血管が存在し、甲状腺そのものも血管が豊富なため、外科手術の際には術後合併症や出血のリスクに注意が必要です。

好発犬種

ボクサー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバーなど

 

好発年齢

高齢(9-11歳)の犬に多く発生する 甲状腺機能正常(60%)、
甲状腺機能低下症(30%)、
甲状腺機能亢進症(10%)

症状

腫瘍の圧迫による発咳、顔面浮腫、嚥下困難、呼吸困難など

検査

触診、エコー・Xray検査、針生検(要注意)、血液検査、術後病理組織診断など

出血のリスクが高いため、太い針を用いたコア生検は禁忌 → 細胞診で仮診断を行う

 

治療

 

外科治療:固着なし MST 3年、固着あり MST 6-12ヶ月

     両側で固着がある場合は不適応

放射線治療 :根治的(総線量48Gy,4Gy/回隔日) MST 2年以上

       緩和的 (総線量36Gy,9Gy/回1ヶ月毎)MST 22ヶ月

化学療法:ドキソルビシンorシスプラチンなど 30-50%部分寛解

     切除不可能もしくは転移がある場合で適応

                   *MST:生存期間中央値

  術後合併症:出血、喉頭麻痺、誤嚥性肺炎、ホーナー症候群、上皮小体機能低下症(低Ca血症)、甲状腺機能低下症など  

 と、難しい話ですが… 以上を踏まえて、症例を紹介します。  

症例紹介

ジャックラッセルテリア、13歳、去勢オス、6.8kg

主訴:首の右側にしこりができた、大きくなってきた、飲水時に発咳

 

 

P1350287  

触診:甲状腺領域にしこりが存在、大きさ:4x4x2.3cm、硬い、固着なし P1350289  

エコー検査:右側甲状腺の腫大および左側甲状腺の正常を確認 IM-0001-0001  

レントゲン検査:右側甲状腺領域に軟部組織デンシティーの腫瘤状陰影と気管の左側変位を確認、転移所見なし 3098001  

細胞診:末梢血液を背景に上皮系細胞集塊、N/C比やや増大、核異型度軽度 P1120217  

血液検査:ALPの軽度上昇  

仮診断:甲状腺癌(T2aN0M0、ステージⅡ)

治療:外科治療(右側甲状腺腫瘍の摘出)
術後病理組織診断:甲状腺癌(濾胞癌)、マージンクリア(完全切除と判定!)  

上記のわんちゃんは、比較的早い段階で偶然、当院を受診され、腫瘍を発見されました。
甲状腺癌は比較的長期経過の末に転移が発見されることもあるので、今後も経過を観察して行くことが必要です。

 

 

飼い主さんの咳が出る
なんだか首回りが大きくなった??? 
顔だけ大きくなったような気がする・・・・。等

何か異変がありましたら、当院へご予約の上ご相談下さい。

ここをクリック ⇒⇒⇒  

 

 

甲状腺癌は、比較的悪いがんではありますが、このわんちゃんの場合、
早期発見・早期治療によって現在は術後合併症や再発・転移もなく、飼い主様と幸せに暮らしています。

腫瘍の場合、全てがハッピーエンドではないですが、早期発見・早期治療が生死を分けるということを教えてくれた症例でした。

 

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