Newsスタッフブログ

2016.02.04

日本獣医がん学会

こんにちは。獣医師の竹田です。

先週の土日に大阪で開催された日本獣医がん学会に院長の武信と出席してきました。

大変勉強になることばかりで、腫瘍は治せないと諦める時代は終わるのだと感じました。

さて、今回のテーマは泌尿器の腫瘍!

報告されている泌尿器の腫瘍について下記にまとめました。

 

「膀胱・尿道の腫瘍」

〔特徴〕

膀胱・尿道腫瘍の多くは侵襲性の移行上皮癌(TCC)である

特に膀胱三角部に多く発生し、尿道(56%)や前立腺(29%)へ浸潤する

好発犬種はスコティッシュテリア、シェルティ、ビーグルなど

性差はメスに発生が多い

猫での発生は稀である

転移率67%(肺50%、局所リンパ節29%、骨11%)

死因は、尿路閉塞に伴う腎不全が最も多い → 局所のコントロールが重要

〔診断〕

臨床徴候は血尿、排尿困難、排便困難など、より少数で骨転移、肥大性骨症による跛行がみられる

尿検査、エコー検査、尿路造影X線検査、血液検査を行い、腫瘍病変を確認する

IM-0001-0004

カテーテル吸引法や膀胱鏡検査、膀胱切開術によって細胞診、病理組織診断を行う

経皮的生検は、腫瘍の播種の危険があり、通常禁忌

細胞診:上皮系細胞集塊、悪性所見(N/C比の増大、核異型高度、多核、クロマチンパターンの異常、複数の核小体、核分裂像など)

P1120188

〔治療と予後〕

外科療法:限局した腫瘍の部分切除(MST:109日)、尿道を含む膀胱全摘出など

化学療法:COX阻害薬 ±ミトキサントロン(MST:291日vs195日)

対症療法:腎瘻や尿道、尿管ステントなどによる排尿障害の改善(MST:89日)              ※MST:生存期間中央値

 

と、少し専門的な話になりましたが…。

 

今回の学会では新たに、外科的アプローチの困難な腫瘍に対する動脈塞栓術、対症療法(尿管や尿道に対する緩和的ステントもしくはバイパス術)、化学療法(腫瘍の栄養動脈に対する超選択的動脈内投与)について最新の戦略を取り上げていました。

現段階では、報告が少ない、費用が高額である、熟練した手技を要するなどを理由に全てを臨床現場に生かすことは難しいですが、いつの日かより簡易化され、戦略の一つとして提供できる時代が来ると感じます。

 

当院では、ペットの高齢化に伴い、増加した腫瘍症例に専門性を持って対応しております。

腫瘍は、早期発見が重要です。もうすぐ春の健康診断が始まるので、ぜひこの機会を利用して病気の早期発見に努めましょう!

皮膚にできものができたなど、身近で気になることがあれば、いつでもご相談下さい。

この記事を書いたひと

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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