浜松市近隣にお住まいの飼い主様へ──耳痒がっていませんか?
〇はじめに
浜松市近隣にお住まいの飼い主様から、愛犬の耳に関するご相談をいただく機会が多くあります。特に「外耳炎」は最も多く見られる耳の病気の一つです。外耳炎は放置すると慢性化し、難聴や中耳炎、さらに平衡感覚障害などの重い症状につながることもあります😨
当院(TPC浜松動物総合病院)は腫瘍治療を得意としていますが、耳の病気も含めた総合診療を行っています。この記事では、犬の外耳炎の症状・原因・診断・治療・予防について、浜松市にお住まいの飼い主様にわかりやすく解説し、具体的な対応方法をご紹介します!
〇犬の外耳炎とは?
犬の外耳炎とは、外耳道(耳の入口から鼓膜までの部分)に炎症が起きる病気です。炎症の程度や原因によって、軽度のかゆみから強い痛み、悪臭、耳垢の増加まで、症状はさまざまです。
外耳炎は再発しやすく、治療が遅れると耳の奥にまで炎症が広がり、中耳炎や内耳炎へ進行するリスクもあります。そのため、早期発見と正しい治療が非常に重要です。
〇犬の外耳炎の主な症状
飼い主様が日常生活の中で気付きやすい外耳炎のサインには、以下があります🐾
・後ろ足で頻繁に耳を掻く
・頭を左右に振る、床に耳をこすりつける
・耳から強いにおいがする
・耳の内側が赤く腫れている
・耳垢が増え、黒褐色や黄色の分泌物が見える
・触ると痛がったり、嫌がったりする
特に黒褐色の耳垢が大量に出る場合は、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の感染が疑われます。若い犬や保護施設から迎えた犬に多く見られるため注意が必要です。
〇犬の外耳炎の原因
外耳炎は単一の原因ではなく、いくつかの要因が重なって起こるケースが多いです。
・細菌・真菌(マラセチア)感染
犬の耳には常在菌が存在しています。耳の通気性が悪く湿度がこもると、細菌や真菌が異常に増殖し炎症を起こします。特に梅雨から夏にかけて発症が多くなります。
・アレルギー体質
食物アレルギーや環境アレルギーを持つ犬は皮膚全体に炎症を起こしやすく、耳も影響を受けます。アトピー性皮膚炎の犬では外耳炎を繰り返すことが多いです。
・寄生虫や異物
耳ダニの感染は強いかゆみを伴い、外耳炎の原因になります。さらに草の種や砂などの異物が耳に入ると炎症を引き起こすことがあります。散歩中、草むらに頭を突っ込むのが好きな犬がなりやすいです。稀に耳道内のポリープや腫瘍が外耳炎の原因となることもあります。
・耳の構造的要因
垂れ耳の犬(ダックス、コッカー・スパニエル、ビーグルなど)や耳毛の多い犬種(プードル、シュナウザーなど)は通気性が悪く、湿度が高くなるため外耳炎が起こりやすいです。
〇犬の外耳炎の診断方法
当院では以下の流れで診断を行います。
1.視診・触診:耳の赤み、腫れ、耳垢の量、においを確認し、触診で痛みの有無を調べます。
2.耳鏡(オトスコープ)検査:耳道の奥や鼓膜の状態を観察します。高性能のビデオ耳鏡を使用することで、飼い主様にも映像で確認していただけます。
3.耳垢の顕微鏡検査:耳垢を採取し、細菌や真菌、寄生虫の有無を確認します。
4.追加検査:再発を繰り返す場合には、細菌培養検査やアレルギー検査、ホルモン検査を行い、基礎疾患を探ります。
〇犬の外耳炎の治療
外耳炎の治療は主に以下の3本柱で行います。
1.耳洗浄
専用の洗浄液で耳道の汚れや耳垢を取り除きます。重症例では鎮静下で行う場合もあります。洗浄により薬の浸透が良くなり、治療効果が高まります。
2.点耳薬・内服薬
抗菌薬、抗真菌薬、抗炎症薬を組み合わせて点耳薬を使用します。必要に応じて内服薬を併用し、炎症やかゆみを抑えます。
3.基礎疾患への対応
寄生虫が原因なら駆虫薬、アレルギーが関与していれば食事療法や環境改善を行います。腫瘍が見つかった場合には、外科的切除や腫瘍治療を検討します。
⚠️ 注意点:家庭で綿棒を使って耳掃除をすると、耳道を傷つけたり耳垢を奥に押し込んだりする危険があります。必ず動物病院でのケアを受けることをおすすめします。
〇外耳炎を放置するとどうなるか?
外耳炎をそのままにしておくと、炎症が耳の奥まで広がり、中耳炎や内耳炎に発展するリスクがあります。
・難聴
・平衡感覚障害(ふらつき、斜頸)
・顔面神経麻痺
これらの合併症は生活の質を大きく下げるため、早期治療が欠かせません。
〇外耳炎の予防と早期発見のコツ
・耳のチェックを習慣化する:におい、耳垢、赤みを確認する
・湿度管理をする:梅雨〜夏は特に注意し、室内を快適な湿度に保つ
・耳毛のお手入れをする:耳毛が多い犬は定期的にトリミングを行う
・定期的な健診を受ける:外耳炎の予防にはプロのチェックが最も確実
外耳炎は適切な治療と定期的な予防管理によって改善とコントロールが可能です。
~まとめ~
・外耳炎は犬によくある病気で、放置すると重症化する
・原因は細菌・真菌・アレルギー・寄生虫・腫瘍などさまざま
・診断には耳鏡検査や耳垢検査が有効
・治療は耳洗浄・点耳薬・基礎疾患治療が基本
・予防には日常のチェックと定期健診が重要
当院では外耳炎の治療だけでなく、腫瘍やアレルギーを含めた総合的なケアを行っています。耳の異変を感じたら早めにご相談ください。
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