News症例紹介

2016.10.08

白猫に多い皮膚の悪性腫瘍

こんにちは。獣医師の竹田です。

今回は、白猫に多い皮膚の扁平上皮癌の症例をご紹介します。

 

猫において、扁平上皮癌は皮膚や口腔内に多く発生し、臨床現場でよくみる悪性腫瘍です。

中でも、白猫に多い皮膚の扁平上皮癌は、原因の一つとして紫外線誘発性と考えられています。

一般的に、猫の口腔内の扁平上皮癌の予後は非常に悪いですが、白猫に多い紫外線誘発性の皮膚(特に耳介部、眼瞼、鼻鏡)の扁平上皮癌は、外科切除や放射線治療、その他の治療法により、予後良好が多いです。

もちろん進行度は大変重要であり、発見時、局所周囲のリンパ節や肺などへの転移がないことが条件です。

 

では、ここで症例を紹介します。一部、手術の写真を掲載しています。

プロフィール:猫Mix(毛色:白黒)、16歳、避妊メス、4kg

主訴:右耳介部にできた痂皮(かさぶた)が治らず、広がっていく、自壊した腫瘤を形成

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視診、触診上、自壊した耳介の腫瘤は0.6cm大、耳下腺リンパ節や下顎リンパ節の腫脹なし

細胞診:NC比の増大した軽度から中等度の核異型を示す扁平上皮細胞集塊を認めた

p1120324

仮診断:紫外線誘発性の扁平上皮癌(T1N0M0)

治療:外科切除(右耳介の部分切除、1cmマージンを確保)

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術後病理組織診断:扁平上皮癌(マージンクリア、脈管浸潤なし)

 

この子の場合、16歳と高齢ながら特に麻酔の不安要素もなく、早期発見・早期治療を行うことができました。今後は痛みからも解放され、天寿全うできると考えられます。

当院長は、日本獣医がん学会の定める数少ない獣医腫瘍科認定医Ⅰ種を取得しております。

できものが急に大きくなったなど不安な点があれば、いつでもご相談下さい。

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浜松家畜病院

静岡県浜松市の動物病院です。診療対象動物は、犬、猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなど。総合診察、予防接種 からがん・アレルギーなどの専門医療、食事や健康管理相談、しつけ相談まで幅広く対応しています。

このブログの監修

武信行紀(たけのぶゆきのり)浜松家畜病院院長

武信行紀(たけのぶゆきのり)

治療方針:恩師の言葉である「慈愛理知」(慈しみと愛をもって動物と飼い主に接し、理論と最新の知識をもって診療に当たる)を胸に、人と動物の絆に貢献します。

経歴:

  • 鳥取県鳥取市出身
  • 1999年 麻布大学獣医学科卒業
  • 2005~2009年 麻布大学腫瘍科レジデント(サブチーフを務める)
  • 2013年 獣医腫瘍科認定医1種取得
  • 2014年 日本獣医がん学会理事就任現在に至る

所属学会・研修:

  • 日本獣医がん学会
  • 獣医麻酔外科学会
  • 獣医整形外科AOprinciplesCorse研修課程終了
  • RECOVER BLS&ALS 研修課程終了

主な執筆・学会発表

  • 2003年~2007年 「犬の健康管理」 ANIMAL WORLD連載
  • 2005年 「拡大乳腺切除および補助的化学療法により,良好な経過が得られた猫乳腺癌の1例.」(第26回動物臨床医学会年次大会)
  • 2006年 「血管周皮腫の臨床的研究」(第27回動物臨床医学会年次大会)
  • 2008年 「外科切除および放射線治療を行った高分化型線維肉腫の2例」(第27回日本獣医がん研究会, JONCOL2008/No.5)
  • 2009年 「特集:血管周皮腫」 (InfoVets 2008/8月号)
  • 2010年 『小動物臨床腫瘍学の実際』 翻訳参加 (Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology 4th ed.)
  • 2010年 「外科切除を行い良好な経過が得られた乳頭状扁平上皮癌の1例」(第30回獣医麻酔外科学会)
  • 2010年 「肝破裂による血腹が見られた猫の肝アミロイド―シスの一例」(第19回中部小動物臨床研究会)
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